この記事ではAGA(男性型脱毛症)診療ガイドラインについて解説しています。
AGA診療ガイドラインは日本皮膚科学会が発表しているAGA治療のガイドラインで、植毛をはじめとした様々な治療方法を5段階で評価しています。
AGA診療ガイドラインとは?
AGA診療ガイドラインとは、日本皮膚科学会という組織が作成・発表しているもので、AGAの診療方法の指針や方針などを示したものです。
このガイドラインでは研究や調査といったものに基づいて診療方法を提示しているので、ネットにゴロゴロ転がっているような根拠不明な解説とは違い、安全性の高い方法を知ることができます。
学会で発表しているものなので、発表前には査読を受けており、研究や調査の結果には製薬会社からの圧力や研究者の思い込みなどは入らないようになっているので安心です。
ガイドラインの判定内容
AGA診療ガイドラインは「A・B・C1・C2・D」の5段階の評価ランクに分けられています。ここでは5段階評価の判定内容について説明していきます。
評価ランクA
評価ランクAは推奨度の分類で「行うよう強く勧められる」とされており、治療方法としてはミノキシジル外用とフィナステリド内服の2種類があります。
ミノキシジル外用とは薄毛の気になっている部分に直接塗布するタイプの薬を使用した治療方法で、フィナステリド内服とはプロペシアなどの薬を飲む治療方法です。
ミノキシジルとフィナステリドの両方とも1年以上の継続使用で発毛効果が認められています。
評価ランクB
評価ランクBは推奨度の分類で「行うよう勧められる」とされており、治療方法としては自毛植毛が挙げられます。
自毛植毛はしっかりとした技術レベルがあり手術の経験が豊富な医師による施術が前提とされていますが、植毛を行うと術後の毛髪の生着率は80%以上とされており、非常に効果的な治療方法といえます。
また、自毛植毛は一度毛髪を移植すると定期的な通院や薬の服用などのアフターケアは必要ありません。
評価ランクC1
評価ランクC1は推奨度の分類で「行うことを考慮してもよいが、十分な根拠がない」とされています。
治療方法としては塩化カルプロニウム外用、t-フラバノン外用、アデノシン外用、サイトプリン・ペンタデカン外用が挙げられます。
これらの薬品は簡単に言うと全て育毛剤に含まれている成分であり、そのためにこのような評価になっています。
評価ランクC2
評価ランクC2は推奨度の分類で「根拠がないので勧められない」とされており、治療方法としてはセファランチン外用が挙げられます。
セファランチンは円形脱毛症の診療ガイドラインでは外用ではなく内服としてC1評価で推奨されていますが、AGA治療においては有効な治療方法であるのかについて科学的な根拠がないのでこのような評価になっています。
評価ランクD
評価ランクDは推奨度の分類で「行わないように勧められる」とされており、治療方法としては人工毛植毛と女性のフィナステリド内服が挙げられます。
人工毛植毛は自分の毛髪を使用する自毛植毛とは違い、人工的に作られた毛髪を使用するので身体が拒絶反応を起こす可能性が高く、手術を行っているクリニックも少ないです。
女性のフィナステリド内服は、男子胎児に悪影響を与える可能性があるので妊娠中や授乳中の女性は錠剤に触れることも禁止されています。
ガイドラインの判定内容の分類基準
疾病懸念
この基準はAGAがどのような形で起こるのかを示しています。
通常、毛髪にはヘアサイクルというものがあり、休止期と呼ばれる毛髪が作られない期間がありますが、AGAは休止期での脱毛とは異なり、パターン化した脱毛が起こることが特徴です。
ちなみに日本人男性のAGA発症率は全年齢平均で30%以上であるといわれています。
病態
AGAは男性ホルモンと深く関係しており、通常では筋肉や骨の成長に関与し、ひげや胸毛も濃くしますが、頭頂部や前頭部においては男性ホルモンが5aリダクターゼによってAGAの原因となるジヒドロテストステロンに変換されてしまいます。
診断
これは医師が実際に患者を診察してどの治療方法を選択するのかを判断することです。
ここで言う診断とは主に視診と問診です。視診と問診という2種類の診断から治療方法を総合的に判断します。
まとめ
ここまでAGA診療ガイドラインについて解説してきましたがいかがでしたでしょうか?
まだ治療方法が確立されていなかった時代とは違い、日本皮膚科学会がガイドラインを作成したことによってどのような治療方法があるのか、その治療方法による効果はどのようなものなのかということがわかるようになりました。
AGAは20代前半というような若い方でも発症する可能性があるので抜け毛や薄毛が気になりだしたらすぐにクリニックに行くなどの行動を起こしたほうがいいでしょう。
対処が早ければ早いほど毛髪の回復も早くなりますので、早め早めの行動をオススメします。
なお、当サイトでは、植毛を扱う病院・クリニックを地域別にまとめていますので、そちらも参考にしてみてください。